現代のデジタル写真市場にphotoshopは必要か?
「現代のデジタル写真市場にphotoshopは必要か?」という質問をよく耳にしますが、答えは極めて単純です。たとえば、「歩く時は靴を履く必要はありますか?」という質問を考えてみてください。靴を履くのが一般的ではありますが、履かなくても歩くことはできます。あまりにも高いハイヒールを履いていると、裸足で歩く方が快適になりますよね。
もう少し周りくどい言い方をしてみましょう。次のように想像してみてください。あなたのカメラの中に、小さいエンジニアがいるとイメージしましょう。このエンジニアはほとんど目が見えません。あなたがボタンをクリックすると、エンジニアはデジタルデータを分析して、そのデータから写真を作成します。あなたのカメラには窓が無いので、エンジニアにとっては陽が照っているのか陽が沈んでいるのか、わかりません。また、あなたがピンク一色の場所で写真を撮っているのか、グリーン一色の場所で撮っているのかも判断できません。
カメラの中にいるエンジニアは、画像を処理して、ごく平均的なコントラストと色合いに仕上げようとします。一方、その画像処理をあなたが自分で行っても良いわけです。ただし、撮り手であるあなたがつい手を加え過ぎてしまう場合もあります。そんな時は、カメラの中のエンジニアにやらせていれば、もっと良い写真ができていたはずです。
私たち撮り手は目や脳を使って、カメラには捉えることのできない方法でものを見ることができます。カメラは、私たちの目に映るようなコントラストを感知することができないし、私たちのように物を引き立たせることもできなければ、あまり効果的に色を決めることもできません。
私たちが目で見た通りに、あるいはそれ以上の出来栄えに写真を仕上げるには、また、私たちが目にしたものについての思いや感情を他者に伝えるためには、何かをする必要があります。陰の部分の色味を薄くして、最も色の薄い部分を濃い色にするだけでもよいかもしれませんが、画像の色のコントラストは現実のコントラストよりも弱いので、さらに手を加えるべきでしょう。何らかのデータを要約するようなグラフを使ったり、輝度マスクのようなさらに複雑なアプローチを使ったりするのも良いかもしれません。
色をもっと鮮やかにしてみたり、一部の色を少し変えてみたりする必要があるかもしれません。これらすべては写真家の仕事です。したがって、プロの写真家になりたいのであれば、そうしたことを学ばなければなりません。自分が観察したものすべてを写真を通して表現したいなら、Photoshop(あるいは同類のプログラム)を活用すべきでしょう。実際のところ、Photoshop はとても便利です。私は以前よく白黒フィルムや時にはカラーフィルムまで現像や印刷をしていましたが、今日可能となっている素晴らしい編集技術は本当にすごいなと思います。
何の魅力も無い悲惨な写真が手元にあって、それに手を加えるならその辺の安価な効果を使えば十分だという方なら、Photoshopは不要です。そのような場合は、スマートフォンや特定のフィルターを使えばよいのです。結局のところ、すべてはあなたがどのくらいのプロダクションを手がけるかにかかっているのです。